誰もが理解したいインターンシップ
「実績」は成果主義が強く主張するところである。
また、「必要」や「平等」は年功主義であるかのようにみえる。
すると、年功賃金の支持率とはずいぶん様相が異なる。
なぜだろうか。
それは、年功主義が、人々の公平観に合致している一種の能力主義だからなのだ。
その公平観とは、まず最低限の「必要」を前提としつつ(生活給的意識)、それを超えた部分については、実績と努力によって配分されるべきであるという考え方である。
「実績」は成果主義的要素そのものである。
問題は「努力」という要素である。
職場では、結果である「実績」とならんで、プロセスにおいて一生懸命がんばっている人には、それなりに報いるべきであるという価値観が根強い。
「がんばれば報われる」というのはある労働組合の標語であるが、これが仕事の原動力となっていることも事実であろう。
これが、成果がなかなか上がらない人もモラールを維持・向上できるしくみなのである。
ここに「年功主義」の本質がある。
つまり、年功主義は「がんばらない人」にはきびしい目を向ける。
がんばる人については、それなりの評価を要求するのである。
これに対して、プロセスや努力は関係なく、結果だけをみればよいとするのが「成果主義」である。
成果主義がぎすぎすしたイメージをもつのは、これが理由である。
もちろん、部長や役員などが成果主義であるのは当然であろう。
先ほどの調査が示すように、多くの企業で管理職層にも年齢や勤続が影響している。
課長相当職はともかく、企業経営について直接的責任をも。つ経営陣の賃金に、こうした要因が反映することは今後なくなっていくだろう。
ただ、この成果主義を一般従業員にまで一律適用するのが望ましいのかどうか、これについては、今われわれは実験段階にある。
努力と実績に適した処遇年功賃金批判には、二種類ある。
一つは、公務員に典型的であるとして批判される「がんばろうががんばるまいが、同一の賃金をもらう」というものである。
これは、賃金を年齢と勤続年数で自動的に、全面的に、あるいは圧倒的に決定するときに、現れるものである。
がんばらない人にも多額な賃金を払うとされる。
二つ目は、実績軽視という観点である。
能力もないために長時間労働した人のほうが、能力があり成果を容易に出せる人よりも評価されるシステムが不平等だという主張である。
短時間で業績の上がる能力のある人よりも、残業ばかりする能力のない人が残業手当分だけ収入が多いのは問題だという主張である。
ただ、この実績を重視せよという批判は、単に実績だけを見よというわけではない。
先のアンケート調査が合意することは、査定を努力と実績双方にリソクさせることが最適だということである。
努力は常に直接的な個人の実績に反映するとは限らないけれども、仕事で手を抜いていないか、前向きに仕事をしているかどうかを表現する。
こうした人にはそれなりの評価をすべきであるというのが日本人の公平観である。
また実績を上げている人も当然評価すべきであるとする。
したがって、日本で最も評価されるのは、努力してかつ高い実績を上げている人である。
次に来るのが、努力の姿勢はともかく高い実績を上げている人と業績はともかく一所懸命努力している人ということになる。
この二番手のうち、前者をより高く評価し、後者をより低く評価するというのが「成果主義」なのである。
一見すると、企業は成果・業績だけを判断すればよいと思われるかもしれないが、こうした目に見える、実現した成果・業績だけを評価すると、よく言われるように評価しにくい仕事を誰もやりたがらなくなってしまう。
それでは企業全体の業績が悪化してしまうおそれがある。
企業の業練は、個人の目に見える業績の単なる総和ではない。
企業は企業業績の向上に目的があるのであって、個人の業績だけが上がっても企業業績が低下してはいけない。
その意味では、企尋業は努力原理を重視する日本人の公平餞に反することをすべきではないだろう。
昇進競争については、章を改めて論じることにしよう。
みんなが昇進したいと思っているわけではない。
しかし、人並みではありたい。
人々の職業生活において、自分のキャリアをどうつくっていくかが大切である。
その基本は、日常の仕事に意欲をもって取り組むことである。
もちろん、企業存続への不信が拡大するなかで、他社でも通用する技能を身につけるという意識が高まっているし、そうした営みは自己防衛として当然必要である。
だが、他社で通用する主要な技能はOJTでしか獲得できない。
実務経験のない、教科書的な知識だけで企業を渡っていくことはできない。
その意味で、日常の仕事を鼻面目にすることが大切である。
正社員の働き方を規定するものとして、昇埠が一つの柱として理解されてきた。
そして、職能資格制皮はまさしく、多数の人が昇進するシステムをつくってきた。
多くの企業は従業員を動機づけるために、従来から人事考課を使ってきたが、近年「成果主義化」のなかで、その比率を高めつつあるかにみえる。
この章では、この間堰をとくに昇進競争という観点から概観することにしよう。
労働時間には還元できない、より内発的な向上意識と昇進境争という問題を扱うことにしよう。
最初に、管理職昇進をみるために、全体の傾向を確認しておく。
減少してきた管理職「管理職」とは何か。
『国勢調査』や『労働力調査』でいう「管理的職業従事者」が、一般的には「管理職」とされている。
つまり、管理的な「職業」についている人のことである。
「職業」とは、就業者について調査週間中、その人が実際に従事していた仕事の種類(調査週間中「仕事を休んでいた人」については、その人がふだん実際に従事していた仕事の種類)によって分類したものをいう。
従事した仕事が二つ以上ある場合は、その人が主に従事した仕事の種類による。
具体的には「職業」は農林漁業関係職業、生産・運輸関係職業、販売・サービス関係職業、事務・技術・管理関係職業の四つに大きく区分され、最後の「事務・技術・管理関係職業」はさらに「専門的・技術的職業従事者」「管理的職業従事者」「事務従事者」に細分化される。
このなかの「管理的職業従事者」が「管理職」ということになる。
管理職はずっと増えつづけてきたのであろうか。
管理職の推移をみることにしよう。
より直近の数字をみるために『労働力調査』をみよう。
高度経済成長期にはたしかに管理職は増えているが、その後は決して増えているとはいえない。
むしろ、近年大幅に減少している。
この大幅な減少が何を意味するか必ずしも明らかではない。
通常いわれるのはIT化による「管理職の中抜き」である。
それ以外に、ダウンサイジソグが進み、企業組織が小さくなることにより、必要となる管理職が減少したことやきびしい人員削減により、管理的仕事をしていたと思っていた人がその他の実務的な仕事をしていることに気づき(プレーイソグ・マネジャー化)、自己認識として脱落したのかもしれない。
また、『国勢調査』(二〇〇〇年)の抽出速報集計結果によれば、管理的職業従事者の比率は実に三・〇%に低下している。
人数は、就業者六二八九万人に対して、管理的職業従事者一九二万人である。
雇用者(2)に限ると五八万人強しかいない。
管理的職業従事者の多くは役員であって雇用者ではない。
雇用者の割合は約三〇%にすぎない。
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